2021年01月

 サッカーファンは皆さん知っていると思いますが、ジュニーニョ・ペルナンブカーノという選手が2000年代のリヨン黄金期にいました。キャリア通算77本のフリーキックを決めており、名だたるプレースキッカーを抑えて歴代世界最高記録の持ち主です。

 

 おさらいですが、彼のキックの特徴は無回転のシュートであり、その軌道は右に左に揺れてゴールキーパーに迫ってくるもので、30m以上のフリーキックを何本も沈めています。普通のフリーキッカーだったら、キャリアに1本決められるかというような遠距離フリーキックを1シーズンに何本も決めていました。

 また、彼は助走が正面だったこともあり、いわゆる横に曲げるタイプのキックはほとんどしなかったのですが、ほぼ縦回転に近いキックも得意としていました。キックの制度、シュートスピード、キーパーとの駆け引きによる蹴りだすタイミング、全てが素晴らしかったです。

 

 ここでは印象に残るフリーキックのわたくし的ベスト5を紹介したいと思います。当時の動画はYouTubeなどで確認してみてください。ちなみにこの5つは、重要な場面や印象的な場面でのフリーキックを扱っています。彼の勝負強さが光ります。ただ、必ずしも凄いフリーキックではないのでご了承ください。

 

第5位  03-04 UCLグループリーグ vsバイエルン戦(アウェー)

 このシーズン、リヨンは国内リーグ3連覇を達成しました。これは7連覇まで続くことになりますが、まさに黄金期です。UCLもこの年から3年連続でベスト8に進んでいます。セリアA、プレミア、リーガ・エスパニョーラが3強リーグにバイエルンが入るような構図のなか、フランスリーグのリヨンは異彩を放っていました。

 この試合で決めた伝説のフリーキックは、当時世界最高と言われていたオリバー・カーンがシュートを追ってポストに激突し、ボールに手を伸ばすこともできずに、美しい放物線を描いてゴールに吸い込まれたものでした。ドイツのサッカーファンを黙らせた一撃です。ボールは微妙に縦回転しており、ゴールバーのはるか上から落ちる弾道でした。このゴールは先制点となり、結果は1-2でアウェーのリヨンが勝ちました。グループリーグ通過を近づけた貴重なゴールだったのです。

 

第4位  08-09 UCL決勝ラウンド・ベスト16 vsバルセロナ戦(ホーム)

 UCL決勝トーナメントの常連となっていた当時のリヨンは、どのビッグ・クラブも対戦を嫌がる強豪チームでした。この年は、決勝トーナメント初戦のバルサ戦ホームで、伝説のフリーキックを決めています。ゴールからかなり左の位置、それもサイドラインに近く、通常なら味方の頭に合わせるようなボールを蹴るような位置から、直接叩き込んでいます。恐ろしいほど高く上がったボールは、若干縦回転しながら急激に落ちてキーパーのビクトル・バルデスの頭上を越えてサイド・ネットに吸い込まれました。しかもその時の壁がメッシとエトーの2人ということで、それも懐かしいですよね。このフリーキックは先制ゴールとして生まれたものでしたが、この試合は1-1でバルサにアウェーゴールを許し、続く第2戦でも粘ることができずにリヨンは破れてしまいます。もし、このフリーキックでリヨンが勢いづいてバルサに勝っていたら、もっと順位を上げていたと思います。

 

第3位  05-06 UCLグループリーグ vsレアル・マドリー(ホーム)

 この試合はUCLグループリーグの初戦であり、私も夜中にテレビの生中継を見ていた。リヨンは過去2年連続でUCLベスト8を達成していました。毎年主力選手をビッグ・クラブに抜かれるような状況ではあったが、チームとしての完成度は欧州随一だった。一方のレアルは、良くも悪くも銀河系軍団で毎年スーパースターを獲得しては、メディアの注目を集めており、必ずしも安定感のあるチームではなかったのです。試合が始まる前から、レアルは簡単には勝てないだろうと、私は思っていました。

 前半、ジュニーニョのフリーキックをカリューが頭で合わせて幸先よく先制した。スタジアムの雰囲気は、テレビ越しでも最高だなと思った。リヨンの追加点は26分にジュニーニョのフリーキックから生まれました。ハーフラインをやや超えたところ、ゴールから約35mの位置でもらったファールだが、誰もがジュニーニョならイケると思ったことでしょう。この伝説のフリーキックは低い弾道で、思い切りボールを押し出して体重を乗せたボールが、無回転でキーパーのカシージャスの手前でバウンドしてゴール左隅に吸い込まれました。ゴール前に敵味方密集していたため、誰かに当たってリフレクションを起こしたとしても、こぼれ球がチャンスになるような状況だったが、直接ネットを揺らした。カシージャスも目の前の選手たちがブラインドになって対処が困難だったのです。

 この試合を3-0で勝利したリヨンは、レアルが同じグループにいながら圧倒的な強さでグループリーグを突破して、驚くべきことに、ジュニーニョはグループリーグで3本のフリーキックを沈めています。

 

第2位  04-05 UCL決勝ラウンド・ベスト16 vsブレーメン(アウェー)

 国内では圧倒的な強さを誇り、UCLも昨年ベスト8だったリヨンが、このシーズンも決勝トーナメントに進出します。当時厳しいドイツで堅実な強さを保っていたブレーメンが相手でした。この試合も僕はテレビの生放送を見ていますが、始まる前はまだリヨンの強さを疑っていました。少なくともアウェーでブレーメン相手にどこまでやれるかな程度で、正直ブレーメンのミクーとクローゼが好きだったので、ブレーメン贔屓で見ていました。

 この試合は、ヴィルトール、ディアラのアウェーゴール2発でリヨンは勢いづき、ジュニーニョによる伝説のフリーキックでとどめを刺しました。このフリーキックも約35mの距離がありましたが、レアル戦でのフリーキックとは弾道の違うものでした。ジュニーニョの代名詞とも言える無回転ブレ玉が、ゴール前の選手や壁を完全に無視してゴールマウスに向かうもので、キーパーはノーチャンスでした。

 このアウェーでブレーメンに0-3は本当に衝撃的だったことに加え、セカンド・レグでは、ホームで7ゴールを決めてトータル10-2でブレーメンを下し、2年連続のUCLベスト8を達成しました。

 僕は、ジュニーニョはフリーキックが上手いとか、リヨンがかなり強いというのは知っていたのですが、このブレーメンとの2戦を見て、完全にその強さを確信してリヨンのファンになり、以降リヨンがメガ・クラブを倒す姿に何度も興奮したのです。また余談ですが、この年のフランス・リーグMVPでジュニーニョとともにリヨンの中心選手だったエッシェンが、モウリーニョの熱望により翌年からチェルシーへ加入したことで、チェルシーとリヨンは当時一番好きなクラブでした。

 

第1位  05-06 UCL決勝ラウンド・ベスト16 vsPSV(アウェー)

 第2位のブレーメン戦に勝利したリヨンは04-05シーズンのベスト8でPSVに敗れます。この年のPSVは、韓国旋風(パク・チソン、イ・ヨンピョ)を巻き起こし、ACミランを倒して決勝に進むギリギリのところまで迫りました。パク・チソンは翌年マンチェスターユナイテッドへ、イ・ヨンピョはトッテナムへそれぞれ栄転移籍を果たしています。

 そして05-06シーズン、そのPSVとのリベンジ・マッチがベスト16で実現しました。リヨンはレアルと同組のグループステージを無敗の圧倒的強さで首位通過し、打倒PSVに燃えていました。

 アウェーでの第1戦、拮抗していた展開を打開したのがジュニーニョのフリーキックでした。後半20分、フレッジが獲得した約30mのフリーキックを無回転の魔球で沈めます。シュートは大きく揺れるタイプではなかったですが、その威力と鋭い落ちにより、キーパーは対応できず、身体に当てたのですがボールは後ろへはじかれ、ゴール・ネットを揺らしました。このシュートは、壁の顔面を狙ったものだと僕は理解しています。壁で立っていた選手はジュニーニョが蹴った瞬間、顔面に向かってくるボールを間一髪のところで反射的に避けたのです。突然壁の間から出てきた魔球は、コースこそ良いとは言い難いものでしたが、キーパーは止めることができなかったのです。

 このアウェーゴールにより0-1で勝利して折り返したリヨンは、ホーム第2戦でも3-0で圧勝し昨年の雪辱を果たして、3年連続のベスト8に進出したのです。こんな強いチーム見たことない、これは優勝だと、夜な夜な興奮したのを覚えていますが、次の試合では前年準優勝のミランに敗北します。

 

 

どうでしょう、楽しめましたか。僕自身もこの文章を書きながら色々なことを思い出すことができ、とても有意義でした。結局ベスト5はすべてUCL(今はCLと呼びますが、、、)で得点したものとなりました。ここぞというときに決めたゴールは、価値が大きいですよね。

 

この他に紹介したいこととして、有名な話ですがジュニーニョは、当時のウイニング・イレブンの能力でフリーキック精度が「99」でした。僕は、何度もお世話になるとともに、リアルにジュニーニョが決めそうなフリーキックを何度も練習しました。

 また、日本代表にも因縁がある人で、ドイツ・ワールドカップで決勝トーナメント進出をかけた大一番で日本人の夢を打ち砕き、中田英寿を引退に追いやった決勝点を決めました。このゴールは、スーパー無回転ミドルシュートで、日本でも話題になりました。大ファンの僕としては、ジュニーニョやってしまったと、複雑な気持ちにさせられました。

 彼はブラジル代表としては、控え選手ではありましたが、当時スーパースター揃いのブラジルにあっても異彩を放つ選手でした。なお、この日本戦では、すでにグループ突破を決めていたブラジルは、選手を若干入れ替えており、ジュニーニョは先発で出場していました。

 最後に、これも私が大好きな彼のフリーキックのひとつなのですが、ブラジル代表として最初に決めたゴールを紹介します。このゴールは、2005年のコンフェデレーションズ・カップのギリシャ戦です。このフリーキックは、私が生涯でもっとも衝撃を受けたフリーキックのひとつです。地面上に止まったボールが綺麗に縦回転をするフリーキックでしたが、このような回転は初めて見ました。欧州王者ギリシャでしたがキーパーは一歩も動けませんでしたね。

 

ひとつひとつの動画は、ネット上探せばどこかにあるはずですので、探してみてください。

あけましておめでとうございます。 年明けからびっくりするようなニュースが多いですね。 なんとまた、緊急事態宣言が出されてしまいました。去年の春先のような、自粛要請はないし、社会的にも緊張感が弛緩してしまっていますが、なんか嫌な感じですよね。

今日辛坊治郎氏がツイッターで、相撲関係者900人にPCR検査を受けさせたところ、横綱の白鳳を含めて6名が陽性で、感染者率は約0.7%だったそうです。現在の保健行政は、体調不良でコロナの疑いがある人がPCR検査を受ける仕組みになっているそうですが、無作為に健康な人を抽出して検査を受けさせると、200人に1人くらいはコロナにかかっているということです。 ということは、自分自身が既にコロナにかかっていると疑ったほうがいいし、目の前の健康な人についてもコロナかもしれないと疑う必要があります。そのうえで、飲食店の夜8時以降の時短営業なんかは本当に無意味だと思うわけです。

菅総理や小池東京都知事などの発信すべきメッセージは、うえの前提にたって、 ① 手洗い、消毒、換気、マスクをする。 ② 手で、目、鼻、口を触らない。 ③ ソーシャルディスタンスを保つ といった基本的なことを徹底して、「なるべく単独行動をする」ことを呼びかけるのがベストだと思います。

もちろんgo toキャンペーン停止による人の移動制限やリモートワークも効果はあると思いますが、そこは経済や国民生活との折り合いをつけなければなりません。行政の頭にあるのは、喫緊の医療崩壊です。コロナ専門の病院や医療スタッフはすぐに拡充することができませんので、劇薬として強制的に街から人を排除するのはありでしょう。そのときは、補償とセットなのは当然として、やるなら徹底的に罰則等を設けることも検討してほしいですね。いずれにしても現状は中途半端な印象が否めません。 但し、外出制限をかけたとしても、知人と集まっての家飲みとか家族で普通に生活していてはあまり意味がないので、あくまで上記の3点は守らないといけないのだと思います。

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